海外発送をする前に、その品物が送れるかどうかを事前に確認することが重要です。万が一、禁制品を海外発送してしまった場合、税関で没収・廃棄されたり、返送されたりすることがあります。故意でなくとも、罰則がある可能性もあるので、十分に注意が必要です。
また、近年ではSNSや越境ECプラットフォームの普及により、手軽に海外へ販売・送ることができるようになりました。ですが、海外に商品を送るということは、「輸出」「貿易」を行うことになるため、その商品を販売先国へ輸送することが禁止されていないかどうか、様々な法令を事前に確認しておく必要があります。
禁制品とは
法律や条令によって、海外輸送が禁止されているものを「禁制品」と呼びます。禁制品の中には、万国共通で輸送が禁止されているものと、送り先の国の法令により禁止されているものがあります。また、輸送方法によっても送れる・送れないがあるので、事前にリサーチすることが大事です。この記事では、海外発送できる・できないものを知りたい個人や越境EC業者の方向けに、禁制品や国別で送れないものについて解説していきます。
※2024年4月時点で、各省庁や輸送業者の情報を元にまとめていますが、法令や情勢に変わる可能性がありますので、正確な情報は各輸送会社や税関にお問い合わせください。航空便・コンテナ便サービスを提供する海外輸送サービスポチロジにお問い合わせいただければ、事前に輸送可否についてお調べいたします。
万国共通で送れないもの
まずは、輸送の方法に関わらず、万国共通で送れないものをご紹介します。
関税法など国内の法令により輸出が禁止されているモノ
- 麻薬、向精神薬、大麻、あへん、けしがら、覚醒剤
- 武器・化学兵器
- 児童ポルノ
- 知的財産権を侵害するもの(特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、著作隣接権、育成者権を侵害する物品)
- 偽造、海賊版の物品
日本国内の売買でもダメだろう、というものばかりですが、もちろん、海外への輸送も認められていません。
ワシントン条約で指定されているもの
絶滅危惧されている動植物や、その一部を使った製品・加工品の国際取引はワシントン条約で規制されています。動植物そのものでなくても、バッグ・財布・楽器・家具などに対象となる動植物の一部が原材料として使われている場合でも同じ扱いとなるので、注意が必要です。日本においては、ワシントン条約履行のための措置として、外国為替及び外国貿易法(外為法)で経済産業省が水際規制しています。
ワシントン条約で引っかかる加工品輸送の例として、以下のようなものがあります。
- ヘビ革、ワニ革を使ったバッグ、財布、楽器
- ローズウッドを使った家具、ギター
- 象牙鍵盤を使ったピアノ
- 虎骨、麝香、木香を含む漢方
輸送上、制限されているもの
続いて、一般的に輸送上で危険として送れないものや、物理的に送れないものをご紹介します。
航空法で危険物として取り扱われるもの
飛行機や空港周辺施設の安全、人体の健康などために、航空法で危険物として一般的に輸送が禁止されているものとして、以下のようなものがあります。
火薬類 | 花火、クラッカー、弾薬、発煙筒など |
高圧ガス | 引火性ガス、毒性ガス、その他のガス、ダイビング用ボンベ、カセットコンロ用ガス、消火器など |
引火性液体 | ライター、香水、ヘアスプレー、マニキュア、除光液、化粧品、油性ペンキなど |
可燃性物質類 | 可燃性物質、自然発火性物質、水反応可燃性物質、マッチ・炭など |
酸化性物質類 | 酸化性物質、有機過酸化物、漂白剤、過酸化物、小型酸素発生機、油絵具など |
毒物類 | 毒物、病毒を移しやすい物質、殺虫剤、農薬、染料、消毒剤、除草剤など |
放射性物質等 | 薬事法に規定する医薬品または医療用器具に装備されている物質など |
腐食性物質 | 液体バッテリー、蓄電池、UPS(無停電電源装置)、水銀など |
その他の有害物件 | 磁石、石油ストーブ、リチウム電池(単体)など |
凶器 |
※アルコール濃度が60%以上の引火性液体は輸送禁止です。
お酒は容量やアルコール度数により、化粧品や消毒剤もアルコール度数によって輸送可否が変わります。
また、リチウム電池を含む家電についても確認と申告が必要です。
リチウム電池は、単体や外付けの場合は輸送不可となります。
一般的には空輸での輸送不可とされる危険物ですが、追加料金を払うことで、輸送可能なケースもあります。
ビィ・フォアードが運営する海外輸送サービス「ポチロジ」では、他社でお断りされた品物の発送が可能なケースがあります。上記の品目に当てはまる場合でも、一度お問い合わせしてみることをお勧めします。
飛行機で輸送できない大型貨物・重量物
民間旅客機で積載できないような大きいサイズの荷物もまた、空輸で送れないことがあります。日本郵便が提供するEMSでは、長さ+横周が3メートル以内、かつ重さ30kg以内であることが輸送条件となっています(国により若干異なる)。また、ヤマト運輸が提供する国際宅急便では、縦・横・高さの合計が160cm以内で、重さが25kgまでとされています。民間旅客機では、貨物コンテナに入るサイズの規格が定まっており、そのサイズを超過する貨物は送れません。
一方、ポチロジでは、長さ300cm、奥行き200cm、高さ160cm、重さ1000kgまでの荷物の輸送が可能です。これは、貨物輸送専用機をもつ国際クーリエ業者のサービスを利用できるために、可能となっています。ピアノなどの大型の荷物も空輸で運んだ実績があります。
船便で送る場合に危険物として制限されているもの
航空便と同様に、船便でも火薬類、高圧ガス、引火性液体、可燃性物質類、酸化性物質類、毒物類、放射性物質、腐食性物質、有害性物質は「危険物」として取り扱われます。ただし、すべてが輸送できないわけではなく、定められた容量を定められた容器に収納するなどにより、運送が可能なケースもあります。また、危険物明細書の書類や事前の手続きが必要となるため、輸送業者に確認しましょう。メーカーが発行するMSDS(安全データシート)の提出により、輸送可能となるケースもあります。危険物扱いでも、追加料金を払えば輸送可能なケースもあります。
リチウム電池も諸条件をクリアすれば、送ることができます。
ポチロジでは、コンテナ1本に満たない少量貨物でもリーズナブルに輸送可能なコンテナ輸送サービスを提供しています。他社でお断りされた品物でも輸送できるケースも少なくないので、まずは問い合わせしてみましょう。
その他、輸送に制限のあるもの
動植物
生きている動物や植物、はく製なども一般的なサービスでは送れないことが多いです。生きた動物は万国郵便条約に基づき禁制品とされていて、基本的には郵便(EMSなど)では取扱いできません。家畜伝染病予防や植物防疫の観点から、輸出前に申請や検査が必要となり、ハードルが高くなっています。ペットの輸送をお考えの方は、専門の業者に依頼することをお勧めします。
現金・貴重品
硬貨、紙幣、旅行小切手、白金、銀、宝石などの貴重品も一般的なサービスでは送れないことが多いです。こちらも万国郵便条約に基づき禁制品とされていて、郵便では取扱いできません。その他の国際宅配便でも取り扱いしていないケースがほとんどです。
国により送れないものにも注意
アメリカに送れないもの
留学先や赴任先としても人気のアメリカ。現地に住む家族や友人に荷物を送る際には、アメリカに送れないものに注意しましょう。
<アメリカに送れないものの一部例>
- たばこ、電子タバコ
- 肉 (生鮮、冷凍、加工肉含む)
- 医薬品
- アルコール飲料、お酒
<商用利用の食品輸送には注意>
越境ECを含め小売業者が「アメリカ向けに販売する」ことを目的とした食品発送する場合、アメリカ食品医薬局(FDA)の認証を事前に取得する必要があります。非商用利用のために個人から個人へ送る場合には必要ありません (2024年4月現在)
オーストラリアに送れないもの
オーストラリアは検疫が非常に厳しい国として知られています。特に食品、動植物製品などの輸入条件は品目ごとに規定されているため、送る際には、注意を払う必要があります。
<オーストラリアに送れないものの一部例>
- たばこ、電子タバコ
- 肉、肉製品(生鮮、冷凍、加工肉含む)
- 果物、野菜
- 卵、乳製品
- 医薬品
- 動物由来のペットフード
開封されていない缶詰やレトルト製品、未開封の市販品は原則送れますが、肉製品や商業的に加工されていない海産物、卵、果物、野菜、豆類などの輸入は禁止されています。また、梱包に木箱やわら、果物や野菜が入っていたダンボール箱などを使うと検疫の対象となるので、梱包材にも注意が必要です。
<オーストラリアに送れる食品条件の例>
調理済み白米および玄米 | 未開封の市販品で、常温で6ヶ月以上保存可能な製品は可。 |
小麦粉・そば粉 | 製粉してある未開封の市販品であれば可。 |
豆類 | 高度に加工してあるものは可。乾燥しているだけでは不可だが、挽いてあるものは可。 |
乳児用粉ミルク | 10kgまで持込可。乳児同伴時のみ、左記に加えて調乳済みのミルク1瓶も持込可。 |
離乳食 | 未開封の市販品で、常温で6ヶ月以上保存可能な製品は可。乳児同伴時に限り、開封済みのものでも1個まで持込可 |
しょうゆ、味噌、みりん、ソース | 市販のもので未開封のものは可。 |
海藻 | 焼き海苔、乾燥わかめ、昆布など乾燥のもので未開封の市販品は可。 |
魚由来の風味調味料 | 未開封の市販品は可。 |
ふりかけ | 未開封の市販品は可。 |
カップ麺、インスタント麺 | ラーメン(卵が10%以上含まれている麺)はインスタント製品で、長期常温保存可能であれば可。そば・うどんは持込可で、申告不要。 |
緑茶 | 持込可。 |
市販の菓子類 | 卵が入っている焼き菓子は、十分に加熱加工されており常温保存可能な市販品であれば持込可で、申告不要。生の植物が使われている菓子(桜餅、柏餅など)は不可。 |
梅干、漬物 | 可(自家製の梅干で種が入っているものは不可)。 |
うなぎ | レトルトパックなど常温保存可能な製品で、内臓処理がされていれば可。 |
関税・消費税にも注意
ここまで、海外へ送れないものを紹介してきましたが、輸送はできるけれども、関税・消費税が高いものについても海外発送する際には注意が必要です。関税・消費税は送り先の国により品目ごとに設定されています。プレゼントのつもりで送っても、現地で高い関税を徴収されることもあるので、事前に調べてから送りましょう。関税は発生しなくても、消費税だけ徴収されるケースもあります。
諦めないで!送れるケースも
これまで、海外発送できないものについて、万国共通で送れないもの、送り方別・国別により送れないものを解説してきました。
国際郵便(EMS)、国際宅急便(ヤマト運輸)、その他の国際宅配便で「送れない」と断られたものでも、所定の手続き・梱包を行えば、送れるケースがあります。送れるか確認されたい方は、ビィ・フォアードが運営する海外発送サービス「ポチロジ」へぜひ一度ご相談ください。輸送可否や現地で受け入れてもらえるかまで、輸送のプロがお答えいたします。
ドバイ港までバイクを輸送した事例
お客様の声:「他の業者にも問い合わせたが、運べないと断られました。 一方、ポチロジの営業担当者には素人の自分の素朴な疑問にもひとつひとつ丁寧に説明していただけたので、信頼できると感じました。大切な愛車なので、信頼できると感じた会社に依頼したかったので、ポチロジを見つけられて良かったです。」
全世界向けにスノーボードを輸送した事例(越境EC業者様)
お客様の声:「ポチロジを利用する利点として大きく二つあります。第一に価格です。長尺貨物の海外輸送料金として他業者より安いです。二点目は、フローの簡潔さです。初めて輸送をご依頼した際から現在まで、依頼から貨物の搬入、発送までのフローが大変スムーズに運用できており、国内の固定の搬入先への入庫から発送、現地での配達までとてもスムーズです。」
引用