関税には、減免税や戻し税と呼ばれる制度が設けられており、一定の条件を満たす貨物に対しては、関税額の軽減・免税・払い戻しが適用されます。
これらの制度は、主に「関税定率法」と「関税暫定措置法」に定められていますが、減免や払い戻しに必要な要件や手続きがわかりづらいと悩んでいる方もたくさんいるのではないでしょうか。
本記事では、関税の減免税・戻し税の制度、適用される貨物の条件(どんな貨物が該当するか)、適用を受けるための手続き(手続きの流れ)について解説します。1
- 関税の減免税・戻し税とは
- 関税定率法に定められる主な対象貨物
- 変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等(第10条)
- 加工又は修繕のため輸出された貨物の減税(第11条)
- 生活関連物資の減税又は免税(第12条)
- 製造用原料品の減税又は免税(第13条)
- 無条件免税(第14条)
- 再輸入減税(第14条の2)
- 外国で採捕された水産物等の減税又は免税(第14条の3)
- 特定用途免税(第15条)
- 外交官用貨物等の免税(第16条)
- 再輸出免税(第17条)
- 再輸出減税(第18条)
- 輸出貨物の製造用原料品の減税、免税又は戻し税等(第19条)
- 課税原料品等による製品を輸出した場合の免税又は戻し税等(第19条の2)
- 輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税等(第19条の3)
- 違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等(第20条)
- 関税暫定措置法に定められる主な対象貨物
- 減免税・戻し税適用を受けるための実務フロー(共通の考え方)
- 関税の減免税・戻し税でよくある質問(FAQ)
- 海外発送なら発送手配から任せられるポチロジ
- 参考サイト
- 脚注
関税の減免税・戻し税とは
減免税・戻し税とは、関税について、一定の条件を満たした場合に軽減・免除・払い戻しが受けられる制度です。
どのような貨物が対象となるかは、主に「関税定率法」と「関税暫定措置法」によって定められています。
ただし、規定に該当する貨物であっても、自動的に関税が減免されるわけではありません。
実際に適用を受けるには、事前の申請や証明書の提出、一定期間内の輸出入といった手続きや条件を満たす必要があります。
関税定率法に定められる主な対象貨物

関税定率法に定められる対象貨物には、下記のようなものがあります。
| 条番号 | 条文 |
| 第10条 | 変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等 |
| 第11条 | 加工又は修繕のため輸出された貨物の減税 |
| 第12条 | 生活関連物資の減税又は免税 |
| 第13条 | 製造用原料品の減税又は免税 |
| 第14条 | 無条件免税 |
| 第14条の2 | 再輸入減税 |
| 第14条の3 | 外国で採捕された水産物等の減税又は免税 |
| 第15条 | 特定用途免税 |
| 第16条 | 外交官用貨物等の免税 |
| 第17条 | 再輸出免税 |
| 第18条 | 再輸出減税 |
| 第19条 | 輸出貨物の製造用原料品の減税、免税又は戻し税等 |
| 第19条の2 | 課税原料品等による製品を輸出した場合の免税又は戻し税等 |
| 第19条の3 | 輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税等 |
| 第20条 | 違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等 |
続いて、それぞれの条文で定められる対象貨物について詳しく解説します。
変質、損傷等の場合の減税又は戻し税等(第10条)
輸入貨物が、輸入手続きの途中や輸入許可後に、災害やその他やむを得ない理由で変質・損傷・滅失した場合に、関税を軽減したり、すでに納めた関税を払い戻すことができる制度です。
適用の範囲は以下のとおりです。
- 輸入許可前の損害:価格の低下率を基準に関税を軽減(ただし輸入申告前の変質、損傷等の場合は対象外)
- 輸入許可後に保税地域等での損害:関税の全部または一部を払い戻し
- 関税の納期限が延長された貨物:延長期限内であれば、関税額から損害にともなって払い戻すことができることとなる関税に相当する額をを減額処理
- 特例申告貨物:申告書の提出期限内であれば、関税の全部又は一部に相当する額を当該特例申告貨物に課されるべき関税の額から控除
加工又は修繕のため輸出された貨物の減税(第11条)
日本から輸出した貨物を加工や修繕のために国外へ出し、再び日本に戻す場合に、関税が軽減される制度です。
修繕の場合は広く対象になりますが、加工の場合は「国内でその加工を行うのが困難である」と認められるケースに限られます。
なお、再輸入は原則として輸出許可の日から1年以内に行う必要があり、やむを得ない事情がある場合は、税関長の承認により期限を延長できます。
関税額は、輸出時の貨物の課税価格と再輸入時の課税価格を比較し、輸入貨物の関税額に輸出時の部分に相当する割合を乗じて算出した額の範囲内において軽減されます。
つまり、国外で加わった加工費用や修繕費用には関税がかからない仕組みになっています。
生活関連物資の減税又は免税(第12条)
国民の生活に不可欠とされる物資については、一定の条件を満たす場合に関税が軽減または免除される制度です。
生活必需品の安定供給や価格抑制を目的として設けられており、社会的に重要な貨物が対象となります。
具体的な対象物資や条件は政令で定められており、たとえば日常生活で広く利用される消費財や国民経済に直結する資材などが含まれます。
製造用原料品の減税又は免税(第13条)
日本国内で製品を製造するために使用される原料品を輸入する場合、一定の条件を満たせば関税が軽減または免除される制度です。
この仕組みは、国内産業の発展や競争力強化を目的として設けられており、原材料の調達コストを抑える効果があります。
対象となる原料品や適用の範囲は政令で細かく定められており、用途外の使用や譲渡は厳しく制限されています。
また、製造終了後に原料が実際に製造に使われたことを証明する書類や報告を求められます。
無条件免税(第14条)
特定の貨物については、法律上あらかじめ関税を課さない(免税とする)と定められており、輸入時に無条件免税の要件を備えていれば自動的に免税となる制度です。
対象となる貨物は政令で規定されており、国際慣行や公共性の観点から免税が妥当とされるものが中心です。
たとえば国際郵便で扱われる少額の貨物や、学術・文化の発展に資する特定の物品などが含まれます。
再輸入減税(第14条の2)
日本から積み戻された保税作業による製品や、輸出を条件として関税の減免・払い戻し等を受けて輸出された貨物を再輸入する場合、日本での加工または製造により付加された価値について関税を課す必要がいなため、その価値部分の関税を軽減するという制度です。
減税を受けるには、輸入申告書に、当該貨物の輸出許可書または積み戻し許可書、および減免・払い戻しを受けた関税額についての税関の証明書を添付して、税関長に提出する必要があります。
外国で採捕された水産物等の減税又は免税(第14条の3)
日本の漁船などが外国の水域で採捕した水産物やその加工品を日本に輸入する場合、関税が免除される制度です。
国際的な漁業活動で得られた資源を国内に持ち込む際、過度な関税負担を避けることで水産業の振興や安定供給を目的としています。
対象となるのは、水産物そのものに加え、一定の条件を満たす加工品も含まれます。
輸入時には、その水産物が日本の漁船等によって採捕され、または日本の漁船等の内部で加工・製造されたものであることを証明する必要があり、採捕主体・加工場所の証明書や関連書類の提出が求められます。
特定用途免税(第15条)
輸入された貨物が、あらかじめ定められた特定の用途に使用される場合には、関税が免除される制度です。
公共性が高い活動や、特別な目的に使われる物品の関税負担を軽くすることで、社会全体の利益につなげることを目的としています。
対象となる用途や貨物は政令で細かく規定されており、たとえば研究・教育目的の機材や公益性の高い事業で使用される物品などが含まれます。
免税を受けるには、輸入時に使用目的を明示し、税関に対して適切な証明や手続きを行う必要があります。
なお、輸入許可日から2年以内に申請時と異なる用途で転用された場合には免税が認められず、関税の追徴を受ける可能性があります。
外交官用貨物等の免税(第16条)
外交官や国際機関の職員などが職務上使用する貨物について、関税を免除する制度です。
対象となるのは、外交官や公館が公務で使用する車両・備品・消耗品などで、政令で範囲が規定されています。
免税を受けるには、輸入申告書に外交官用貨物等の免税を受けようとする旨を記載する必要があります。
再輸出免税(第17条)
輸入許可日から1年以内に再輸出されることを条件に輸入される一定の貨物について、輸入時に課される関税を免除する制度です。
この仕組みは、日本の加工貿易の振興や文化学術水準の向上等の観点から、国内産業に影響を与えないものや国内で消費されないものについては関税の対象外にするという考えに基づいています。
たとえば、展示会や見本市などに出品するための物品などが対象です。
なお、免税を受けるには輸入時から再輸出までの管理や手続きが重要で、要件を満たしていないケースにおいては、免税が認められません。
再輸出減税(第18条)
長期間にわたって使用することができ、通常その輸入が貸借契約に基づき、または請負契約の履行に関連して、本邦で一時的に使用するため行なわれる一定の貨物であり、その輸入許可日から2年以内に輸出されるものについては関税を減額できる制度です。
第17条(再輸出免税)が「輸入時の関税を全額免除」する仕組みであるのに対し、本条は貨物の性質や状況によって一部のみ減税される点が特徴です。
たとえば、輸入後に1年を超える保管期間を経てから再輸出するケースなど、免税の要件を完全には満たさない場合でも、軽減措置が受けられる余地が設けられています。
ただし、減税を受けるには、再輸出免税の規定に準じた手続きを行うことが求められます。
輸出貨物の製造用原料品の減税、免税又は戻し税等(第19条)
輸出する製品の製造を目的として輸入された原料品に関して、一定の条件を満たした場合に、関税の減額・免除や、すでに支払った関税を払い戻すことができる制度です。
輸出によって外貨を獲得する産業を支援し、国際競争力を高めることを目的としており、輸出用製品に使われる原料の関税負担を軽減して輸出を促進するねらいがあります。
適用を受けるには、輸入申告時に製造予定等を記載した書面(輸入時の計画届出・事後実績報告など)を税関長に提出する必要があり、品名や数量を明確に示す書類や手続きが必要となります。
課税原料品等による製品を輸出した場合の免税又は戻し税等(第19条の2)
輸入時に関税を納めた原料品を使って国内で製品を製造し、その製品を輸出した場合に、すでに支払った関税が払い戻される制度です。
輸出用製品に組み込まれる原料の関税負担を軽減することで、輸出による外貨獲得を後押しする役割をもっています。
輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税等(第19条の3)
輸入した貨物を加工や使用を一切行わずに、そのままの状態で再輸出する場合、すでに支払った関税が払い戻される制度です。
見込み輸入などで売れ残りが生じた貨物などが該当し、実際には国内で消費・利用されていない貨物に対し、関税を課すのは不合理であるという考えに基づいています。
適用を受けるには、輸入申告時に再輸出の予定時期等を記載した「再輸出貨物確認申請書」を提出する必要があります。
また、輸出申告時には税関の確認を受けた「再輸出貨物確認申請書」に加え、「関税払戻申請書」および「輸入許可書」を添付して税関長に提出する必要があります。
違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等(第20条)
輸入した貨物が契約違反品・不良品・規格外品などであったことにより、やむを得ず再輸出または廃棄する場合に、すでに支払った関税が払い戻される制度です。
貨物の品質や法令改正の理由などにより、国内で消費・利用することができないケースで、輸入者に不当な関税負担が生じないようにするための仕組みです。
適用を受けるには、契約違反品等で輸出または廃棄がやむを得ないことに加えて、輸入時の性質および形状に変更を加えないものであること、輸入許可日から6か月以内に保税地域等に入れたものであること、当該貨物を輸出または廃棄をすることのすべてを満たす必要があります。
関税暫定措置法に定められる主な対象貨物

関税暫定措置法に定められる対象貨物には、下記のようなものがあります。
| 条番号 | 条文 |
| 第4条 | 航空機部分品等の免税 |
| 第8条 | 加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税 |
| 第8条の7 | 経済連携協定(EPA)に基づく加工又は修繕のため輸出された貨物の免税 |
続いて、それぞれの条文で定められる対象貨物について詳しく解説します。
航空機部分品等の免税(第4条)
航空運送業・航空機製造業・宇宙開発といった分野の発展を支え、科学技術の向上が産業経済全体の発展に寄与することを目的として設けられた制度です。
具体的には、航空機の部品や関連資材のうち、国内での製造が困難と認められるものを輸入する場合に関税が免除されます。
これにより、必要な部品を海外から円滑に調達でき、航空機産業や宇宙開発分野の技術力・国際競争力を高める仕組みとなっています。
加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税(第8条)
日本から一度輸出した貨物を原材料として外国で加工・組み立てし、製品として再び日本に輸入する場合に関税が軽減される制度です。
通常、完成品を輸入すると全体に課税されますが、この制度では「もともと日本から輸出した原材料部分」に対する二重課税を避ける仕組みになっています。
その製品に係る関税のうち、輸出品を再利用した分が控除され、追加で外国で加工された部分に相当する部分のみの関税に減額されます。
経済連携協定に基づく加工・修繕再輸入貨物の免税(第8条の7)
日本が締結している 経済連携協定(EPA) に基づき、日本から加工や修繕のために輸出された貨物を再び日本に輸入する場合、関税を免除する制度です。
関税定率法の第11条で定められている「加工・修繕後の再輸入減税」と似ていますが、EPAに基づく取り決めにより、特定の国との間ではより有利な条件である免税が適用されます。
これにより、協定締結国との貿易を円滑化し、国際的な経済連携を強化するねらいがあります。
減免税・戻し税適用を受けるための実務フロー(共通の考え方)
- 該当条文の特定
品目・目的・輸出入の順序・期限から、まずどの条が使えるかを確定します。 - 要件の充足可否の確認
「期限(1年・2年・6か月等)/用途限定/国内加工の困難性/同一性の維持」などクリティカル条件を洗い出します。 - 証憑の準備
輸出入許可書、契約書、修繕指示書/見積・請求、原材料と製品の対応関係、採捕・加工の証明書、再輸出貨物確認申請書、関税払戻申請書 等。 - 申請タイミングの管理
事前申請が必要な制度もあれば、輸入申告時申出・輸出時申告・事後払戻申請などパターンが分かれます。 - 事後管理(転用・実績報告)
用途免税・原料減免は転用禁止期間や事後報告がセットです。転用時は追徴となる場合があります。
まずは「条文特定→期限→書類」を最速で固めましょう
- 減免・戻し税はコスト最適化の有効な選択肢ですが、要件・期限・証憑が命です。
- どの条文が使えるかを先に確定し、必要書類とタイムラインを逆算しましょう。
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関税の減免税・戻し税でよくある質問(FAQ)
- Q自動で減免・払戻しされますか?
- A
いいえ。申請(申出)・証明書・期限管理が前提です。自動適用ではありません。
- Qどの制度が使えるか分かりません。
- A
輸出入の時系列・貨物の用途・加工の有無を整理すると条文が絞れます。迷う場合はポチロジへお問い合わせください。
- Q申請期限を過ぎました。救済はありますか?
- A
条文によってはやむを得ない事由に限り延長・承認の余地があります。早めに税関ご相談ください。
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参考サイト
- 税関Q&A(総論・各制度):
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1601_jr.htm
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1602_jr.htm
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1605_jr.htm - 法令本文:
関税暫定措置法 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000036/
関税定率法 https://laws.e-gov.go.jp/law/329CO0000000155 - https://www.foresight.jp/tsukanshi/column/tax-exemption
- https://ots-jpn.com/international_transportation/tax-reduction_tax-exemption/
- https://tsukanboeki-shun.com/genmen/
脚注
- 本記事は2025年10月現時点の制度について説明しています。最終判断は最新の法令・通達・税関案内をご確認ください。 ↩︎


