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関税はどんな仕組みで課税される?税率の種類と計算方法、支払手続きについて

関税

海外から荷物を輸入するとき、関税がかかることは知っていても、関税がどのような仕組みで決められており、どのように支払えばいいかがわからないという方も多いのではないでしょうか。

個人輸入が増える中で、関税の基礎知識をもつことは、予想外のコストやトラブルを防ぐうえでも非常に重要です。

この記事では、そもそも関税とは何なのかという基本から、税率の種類や計算方法、支払手続きまでわかりやすく解説します。

関税とは

関税とは、海外からの輸入品に対して国が徴収する税金のことです。

海外から商品が輸入される際には、税関において品目や価格に基づく関税が計算され、輸入者がその額を支払う仕組みになっています。

また、関税には「従価税(価格に対して課税)」「従量税(数量に対して課税)」など複数の種類があり、輸入する品目ごとに細かくルールが定められています。

輸入ビジネスや越境ECの運営事業者はもちろん、個人輸入に対しても関税は課されるため、個人であっても関税の仕組みを理解しておく必要があります。

消費税・VATとの違い

関税と消費税・VATは、いずれも輸入時に特定の条件下で発生する税ですが、それぞれ目的と課税対象が大きく異なります。

関税は海外から輸入される物品に直接課される税金であり、国内産業保護の保護や国際取引における価格調整などの役割を担っています。

一方、消費税(日本)やVAT(欧州など)は、商品の「消費」に対して課される税金です。

つまり、関税は「国境を越える瞬間に課される税」であり、消費税・VATは「国内での消費に対する税」と言えるでしょう。

この違いを理解することで、輸入にかかる費用全体のイメージがより正確に掴めるようになります。

⚫︎関連記事:関税・消費税・VATの違い|個人輸入・越境ECで失敗しないための基礎知識

関税の役割と必要性

関税は単なる税収手段ではなく、国家の経済や産業、外交に深く関わる重要な制度です。

ここでは、関税の役割と必要性について、下記の3点を解説します。

  • 国内産業の保護
  • 国の財源の確保
  • 外交上の交渉材料

国内産業の保護

関税のもっとも基本的な役割の一つは、国内産業の保護です。

海外から安価な商品が大量に流入すれば、国内の製造業や農業などは価格競争に巻き込まれ、大きな打撃を受けるおそれがあります。

とくに新興産業や規模の小さい事業者の場合、人件費の安い海外で大量生産をしている事業者に対して優位をとれるような競争力をもっていないことがほとんどです。

そうした弱い立場の産業を守るうえで、関税という仕組みが必要とされており、産業の育成や雇用の安定に寄与する存在として、経済のバランスをとる調整役を担っています。

国の財源の確保

関税には、国にとって安定した収入をもたらす側面もあります。

とくに輸入量が多い国では、価格や数量に対して課税される関税は大きな税収となります。

また、関税は物品の輸入に応じて自動的に発生するため、景気の影響を受けにくく、安定した財源を確保できる利点があります。

発展途上国においては、関税が国家運営を支える主要な税収となることも珍しくありません。

外交上の交渉材料

関税は外交政策の一環としても活用されています。

たとえば、発展途上国への経済支援を目的として、一定期間関税を免除または引き下げる「特恵関税」という制度が設けられています。

これにより、該当国の輸出を後押しし、良好な国際関係を築くきっかけとなります。

一方、相手国の貿易政策や政治的立場に問題がある場合には、制裁措置として関税を引き上げる「報復関税」が課されることもあります。

このように関税は単なる経済手段ではなく、国家間のパワーバランスを調整するツールとしても機能しています。

関税率の種類

次に、関税率の種類について解説します。

関税率の種類は大きく分けて以下の2つです。

  • 国定税率
  • 協定税率

それぞれの税率の特徴と仕組みについて、詳しく見ていきましょう。

国定税率

国定税率は、日本が独自に設定している関税率で、輸入品に対する基本的な課税基準となるものです。

固定税率は、さらに以下の5つに分類されます。

  • 基本税率
  • 暫定税率
  • 特恵税率
  • 入国者の輸入貨物に対する簡易税率
  • 20万円以下の少額輸入貨物に対する簡易税率

以下では、それぞれの税率について解説します。

基本税率

基本税率は、関税定率法に則って設定されている、輸入品に対する原則的な税率です。

日本への輸入品に対して、特別な優遇措置などが適用されない場合、原則として基本税率が課されます。

たとえば、WTO非加盟国やEPA未締結国からの輸入品は、一般的な税率が適用されやすい傾向にあるといえるでしょう。

暫定税率

暫定税率は、政策上の必要に応じて、基本税率を一時的に変更した税率です。

たとえば、国内需要が急増した商品について関税を引き下げて供給を確保したり、逆に産業保護の観点から税率を引き上げることもあります。

暫定税率は国会で毎年見直されるため、時期によって内容が変動する点に注意しましょう。

ベースとなる基本税率に加え、暫定税率があることによって、経済状況に応じて柔軟に対応できるようになっています。

特恵税率

特恵税率は、経済発展を支援する目的で、発展途上国などからの輸入品に対して適用される、通常よりも低い税率です。

これは国際的な連携や経済協力の一環として位置づけられており、対象国が一定の条件を満たしていれば適用されます。

アジアやアフリカの特定地域からの輸入品、とくに繊維製品や農産品などが対象となることが一般的です。

入国者の輸入貨物に対する簡易税率

入国者の輸入貨物に対する簡易税率は、海外からの帰国時に持ち込む品物に適用される税率です。

これは個人使用を前提とした持ち込み品などに対して適用され、申告が必要な課税品に対して簡便に課税処理が行える仕組みとなっています。

関税の計算を複雑にせず、一定の基準に基づいて定額、もしくは一律の税率が適用される点が特徴です。

20万円以下の少額輸入貨物に対する簡易税率

20万円以下の少額輸入貨物に対する簡易税率は、20万円以下の輸入に対して適用される簡易税率です。

たとえば、オンラインショッピングなどで個人輸入する場合には、この簡易税率が適用されるケースが多いでしょう。

課税価格が20万円以下の輸入品については、一部の例外を除き、通常の税率ではなく、分類ごとに設定された簡易税率で処理されます。

簡易税率の対象としては衣料品や靴、食品などがあげられ、申告が簡略化されるため、少額の個人輸入にかかる負担が軽減され、スムーズな取引が可能になります。

協定税率

協定税率には、下記の2つの種類があります。

  • WTO協定税率
  • 経済連携協定によるEPA税率

続いてそれぞれの税率について詳しく見ていきましょう。

WTO協定税率

WTO協定税率は、世界貿易機関(WTO)に加盟している国との取引において適用される税率です。

WTOに加盟している国は、原則として最恵国待遇を受けられるため、他国と比べて不利な税率が適用されることはありません。

このため、多くの輸入品はWTO協定税率に基づいて処理されており、貿易の安定性を支える基本的な枠組みになっていると言えるでしょう。

経済連携協定によるEPA税率

経済連携協定によるEPA税率は、日本と特定の国や地域が結んだ自由貿易協定に基づいて適用される税率です。

たとえば、東南アジア諸国連合(ASEAN)や欧州連合(EU)との間で結ばれた協定では、対象となる品目について関税がゼロ、または大幅に軽減されることがあります。

ただし、協定の適用には原産地証明書の提出など、一定の条件を満たさなければいけません。

国際物流において関税のコストを削減したい場合は、EPA税率の活用が非常に効果的といえるでしょう。

関税の計算方法

税額の決定するうえでは、主に「申告納税方式」と「賦課課税方式」があり、関税の場合には「申告納税方式」が一般的です。

申告納税方式においては、輸入者自身が関税額を計算し、申告・納付する必要があるため、基本的な関税の計算方法を理解しておくことが大切です。

原則として、課税価格が20万円以下の少額輸入品には簡易税率が適用され、20万円を超える場合は一般税率が適用されることもおさえておきましょう。

また、関税の計算方法を理解するうえでは、輸入品目のHSコード(輸出入統計品目番号)についても理解する必要があります。

HSコードとは、国際取引において、あらゆる品目の名称や分類を統一するためのコードです。

一つひとつの品目に対して「0101.21」のような6ケタの数字が設定されており、HSコードによって以下の3つの計算方法のうち、どのような方法で関税を算出するかが決められています。

  • 従価税の場合
  • 従量税の場合
  • 混合税の場合

続いて、それぞれの計算方法について見ていきましょう。

従価税の場合

従価税とは、輸入品の価格に応じて課税額が決まる仕組みです。

たとえば、関税率が10%で課税価格が10,000円の品物であれば、関税は「10,000円 × 10% = 1,000円」となります。

従価税は、衣類や家電、雑貨など幅広い商品に適用されており、もっとも一般的な計算方法です。 

従量税の場合

従量税は、商品の価格ではなく「重量」や「数量」に基づいて課税される方式です。

たとえば、お米1kgあたり30円の税率が設定されている場合、20kg輸入すれば「30円 × 20kg = 600円」が関税額となります。

主に農産物や酒類など、数量や体積で管理される品目に適用されています。 

需給バランスによって価格の変動が大きい商品であっても、輸入量に応じて一定額の課税が見込まれるため、税収を安定化させられる点も特徴です。

混合税の場合

混合税は、従価税と従量税の両方の要素を組み合わせた課税方法です。 

たとえば「1kgあたり20円、かつ課税価格の5%」といった形で設定されることがあります。

仮に10kgの商品で課税価格が40,000円であれば、「(20円 × 10kg)+(40,000円 × 5%)= 2,200円」と計算されます。 

混合税は価格と数量の双方を考慮しており、課税の公平性を高める目的で導入されています。

関税の支払方法

通常、関税は輸入された貨物が税関を通過する段階で課税され、輸入者が支払いをおこないます。

日本では、貨物の到着後に税関による審査や検査がおこなわれ、その後に関税の納付手続きを進めます。

関税の支払方法としては、銀行や郵便局を利用した納付のほか、マルチペイメントネットワークを用いたオンライン納付、口座振替など、さまざまな選択肢が用意されています。

ただし、実務上は運送業者が関税を一時的に立て替え、運送業者から輸入者に請求されることが一般的です。

関税の仕組みに関するよくある質問

最後に、関税の仕組みに関するよくある質問と回答について紹介します。

関税の仕組みを理解しておくことで、輸入手続きの不安を減らし、国際輸送のトラブルを防げるでしょう。

関税はすべての輸入品に対してかかる? 

関税は、すべての輸入品に一律で課されるものではありません。 

有税品と無税品があり、たとえば食品や衣料品には関税がかかる一方で、一部の電子機器や医薬品には関税が免除されていることもあります。

また、品目の内容や取引先の国・地域によっても課税の有無は異なるため、事前に確認をしておくことが大切です。

2025年に世界を騒がせたトランプ関税とは?

2025年4月に発表された「相互関税政策(Reciprocal Tariff Policy)」は、国際社会に大きな影響を与えたニュースとして記憶に残っているのではないでしょうか。

これは、アメリカのトランプ政権が掲げた方針で、すべての輸入品に対して最低10%の関税を課し、さらに相手国の貿易障壁に応じて最大50%まで追加課税するという内容です。 

国際貿易におけるパワーバランスを大きく揺るがす関税率の引き上げは「トランプ関税」として世界中で話題を集めました。

トランプ関税に限らず、関税率の引き上げ・引き下げが国際情勢や外交関係に影響を与える可能性はおおいにあるため、各国の関税に関する動向には注意を払っておくとよいでしょう。

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参考
税関 少額輸入貨物の簡易税率
ジェトロ 輸入税額の計算方法:日本
ジェトロ トランプ米大統領、世界共通関税と相互関税課す大統領令を発表