日本の食品は、味や品質、安全性などの評価が高く、海外でも人気の商品です。
訪日観光をきっかけに日本食のファンとなり、帰国後に越境ECを通じて再購入するケースも少なくありません。
一方で、食品の越境ECには国ごとに異なる輸入要件や法規制、配送方法に関する制約などの注意点もあります。
本記事では、食品の越境EC市場の動向を踏まえつつ、販売に向いている商品や注意点を整理し、海外販売を検討するうえで押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。
食品の越境EC市場
越境EC市場の中でも、食品カテゴリは今後も高い成長が見込まれている分野です。
2025年8月に経済産業省が発表した「令和6年度 デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、越境EC全体の市場規模は2024年時点で約1.01兆USDに達しており、2034年には約6.72兆USDまで拡大する見通しが示されています。
この成長を後押ししている要因の一つが、日本食への関心の高さです。
農林中央金庫が訪日外国人を対象に実施した調査では、94.1%が「日本食が好き」と回答しており、寿司や和菓子、調味料などへの評価が高い結果となっています。
上記の調査結果からも、日本の食品を求める外国人のニーズは非常に高いことがわかります。
食品の越境ECが注目されている背景

食品分野で越境ECが注目を集めている背景には、大きく以下の2点が挙げられます。
- 日本の食品への世界的な人気
- 実店舗よりも初期投資を抑えた海外展開
食品分野で越境ECが注目を集めている理由は、日本食そのものへの評価の高まりと、海外展開の手段としてECが現実的な選択肢になっている点にあります。
続いて、食品の越境ECが注目されている背景について見ていきましょう。
日本の食品への世界的な人気
日本の食品は、「おいしい」だけでなく「安全で品質が安定している」という点が海外で高く評価されています。
寿司やラーメンといった和食文化の広がりに加え、調味料や菓子、即席食品なども海外で日常的に消費される存在になりつつあります。
とくにアジア圏や欧米では、日本食の「健康的で信頼できる」というイメージが強く、価格が高くても選ばれやすい傾向にあります。
実店舗よりも初期投資を抑えた海外展開
越境ECの大きな利点は、現地に実店舗を構えなくても海外市場へ参入できる点です。
テナント費用や人件費をかけずに商品を販売できるため、初期投資を抑えた形でテストマーケティングを行えます。
市場の反応を確認しながら商品ラインナップや価格戦略を調整できるため、リスクを最小限に抑えた海外展開が可能です。
越境ECでの販売に向いている食品
越境ECを通じた食品の販売が注目されているとはいえ、保存条件や賞味期限などの観点から、越境販売が難しいものも少なくありません。
そのため、越境ECで扱いやすい食品を中心に、ラインナップを組むことが大切です。
以下では、越境ECでの販売に向いている食品を紹介します。
常温での保存が可能な食品
常温保存が可能な食品は、越境ECにおいてもっとも扱いやすいカテゴリーです。
冷蔵・冷凍が不要なため、温度変化による品質劣化や、輸送コストの増加を抑えられる点が魅力です。
たとえば、焼き菓子・乾麺・調味料・レトルト食品などは、輸送中の環境変化に強く、物流トラブルが起きにくいため、はじめて食品の越境ECに取り組む事業者でも導入しやすいでしょう。
賞味期限が長い食品
賞味期限が長い食品は、輸送日数や通関遅延のリスクを吸収しやすく、海外販売に向いています。
とくに船便を利用する場合、到着まで数週間を要するケースもあるため、期限に余裕のある商品選定が重要です。
具体的には、乾物・缶詰・インスタント食品・粉末飲料などが該当します。
期限切れによる廃棄リスクを抑えられる点は、利益管理の面でも大きな利点となるでしょう。
関連記事:海外に発送した荷物が届く日数はどのくらい?最短で届ける方法も紹介
日本の文化や歴史に根付いた食品
日本の文化や歴史に根付いた食品は、越境ECで独自性を打ち出しやすいジャンルです。
和菓子・だし・味噌・醤油などは、日本独自の食文化を体感できるものとして、海外消費者から高い関心を集めています。
さらに、単なる食品として販売するのではなく、製法・地域性・歴史的背景をストーリーとして伝えることで、価格競争にも巻き込まれにくくなるでしょう。
文化的価値を訴求できる商品は、ブランド構築とも相性がよく、中長期的な越境EC展開に適しています。
訪日外国人に人気の食品
訪日外国人に人気のある食品は、越境ECでも需要が顕在化しやすい傾向があります。
日本滞在中に購入・体験した味を、帰国後に再び購入したいというニーズが存在するほか、旅行後の外国人による口コミで人気となるケースもあります。
たとえばお菓子・緑茶・日本酒など、訪日外国人から人気の食品をリサーチして販売ラインナップに加える方法も効果的です。
関連記事:日本酒の輸出方法と流れについて!必要な免許や注意点までまるっと解説
食品の越境ECで狙うべきエリア・市場

食品の越境ECでは、国や地域ごとに購買行動や人気ジャンル、規制の厳しさが大きく異なります。
そのため、やみくもに海外販売を始めるのではなく、エリアごとの特徴を理解したうえで優先順位を決める視点が欠かせません。
ここでは、食品の越境ECで狙うべき3つの主要エリアや市場について、詳しく解説します。
アメリカ
アメリカでは多様な食文化を背景に、健康志向やライフスタイルに合った食品が支持されやすい傾向があります。
オーガニック食品・低糖質食品・植物由来原料を使用した商品などは関心を集めやすく、明確な付加価値を打ち出すことで、受け入れられやすくなるでしょう。
ただし、FDA(米国食品医薬品局)による規制や表示ルールが存在するため、原材料や栄養成分表示には慎重な対応が求められるでしょう。
ヨーロッパ
ヨーロッパではEU共通の食品安全基準が適用されており、残留農薬や食品添加物に対する規制が厳格です。
そのため、輸出前の成分確認や、各種証明書類の整備が欠かせません。
一方で、安全基準を満たした食品は品質面で高く評価されやすく、伝統を重んじる文化であることから、文化的背景を持つ食品は訴求しやすいともいえます。
また、価格よりも安全性や背景情報を重視する消費者が多い点も、大きな特徴と言えるでしょう。
東南アジア
東南アジアは若年層人口が多く、EC利用が急速に拡大している地域です。
日本の食品に対する関心も高く、菓子類・飲料・インスタント食品などは比較的参入しやすいジャンルと言えるでしょう。
また、日本からの輸送距離が短く、配送面でのハードルが比較的低いことから、販路を構築しやすい市場として注目されています。
食品の越境EC運営で注意すべきポイント
次に、食品の越境EC運営で注意すべきポイントについて、以下の4点を紹介します。
- 各国の食品規制に対応する
- 輸入規制がかかる品目に注意する
- 輸送手段ごとの取扱制限を確認する
- 各国の関税ルールを理解しておく
食品の越境ECは、国内向けECとは異なる規制や実務上の注意点が多く存在します。
食品に対しては、各国の法規制や輸送条件が厳しく設定されがちなため、しっかりと確認しておきましょう。
各国の食品規制に対応する
食品の安全基準や規制内容は国ごとに大きく異なります。
残留農薬の基準値や、使用可能な食品添加物などは、国ごとに定められており、日本では問題なく販売できる商品でも、海外では輸入不可となるケースもゼロではありません。
また、アレルゲン表示についても注意が必要です。
日本で義務付けられている特定原材料と、海外で指定されているアレルゲン品目は一致しない場合があり、対象国の表示要件に合わせたラベル対応が求められます。
販売前には必ず各国の規制を確認し、成分・表示の適合性を検証しておきましょう。
関連記事:食品は海外発送できる?国ごとの規制や注意点を徹底解説!
輸入規制がかかる品目に注意する
食品の中には、国の検疫制度や防疫方針により、輸入そのものが制限されている品目があります。
たとえば、肉製品や乳製品、生鮮の果物・野菜などは規制対象となりやすく、越境ECを通じた販売ができない場合も多いです。
また、条件付きで輸入可能なケースでは、事前の申請や検査証明書の提出を求められるケースもあります。
品目ごとに輸入可否が細かく定められているため、取り扱い前に必ず各国のルールを確認しておきましょう。
関連記事:海外の輸入規制とは?国別・品目別の禁止・制限ルールをわかりやすく解説
輸送手段ごとの取扱制限を確認する
食品は輸送方法によって取扱条件が大きく変わります。
たとえば、国際郵便や国際宅配便では、保存温度や液体含有の有無、内容物の種類によって発送制限が設けられている場合が多いです。
とくに常温保存ができない食品や、液体・粉末状の商品は制限対象になりやすい点に注意しましょう。
制限対象の品目を送ってしまうと返送・廃棄となるリスクもあるため、商品の性質に合った配送方法を選定することが大切です。
各国の関税ルールを理解しておく
越境ECを通じて、海外の消費者に商品を販売する場合、商品代金とは別に関税やその他の税金が発生する点を見落としてはいけません。
関税の税率や免税条件は国ごとに異なり、同じ商品でも販売先によって販売コストが変わります。
関税は原則として輸入者が負担するため、サイト上に案内がないと購入者側で追加請求が発生し、クレームや返品につながるリスクもあるでしょう。
事前に販売国の関税制度を理解し、想定外のコスト発生を防ぐことが重要となるでしょう。
関連記事:越境ECの関税について徹底解説!国別の制度の違い・計算方法・注意点
越境ECで食品を海外に発送する際の必要書類

最後に、越境ECで食品を海外に発送する際に、必要となる書類について、以下の2点を解説します。
- インボイス・送り状
- パッキングリスト(梱包明細書)
食品は原材料に関する確認が厳しく、書類の記載内容に不備があると、通関遅延や差し止めといったトラブルにつながりかねません。
食品をトラブルなく海外へ発送するためにも、しっかり確認しておきましょう。
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インボイス・送り状
食品を海外へ発送する場合、インボイスには商品名・数量・単価・合計金額・原産国などを正確かつ具体的に記載しなければなりません。
また送り状についても、発送元・受取人情報や配送方法を正確に記載する必要があります。
記載内容が曖昧な場合、税関で用途確認が入るため、通関が滞る原因になりかねません。
また、送り状に記載する内容とインボイスの情報に差異があると、追加確認や修正対応が発生する可能性もある点に注意が必要です。
関連記事:海外発送時のインボイスの書き方を徹底解説!インボイス(運送状)の注意すべきポイントと具体例付き
パッキングリスト(梱包明細書)
パッキングリストは、荷物の中身を箱単位で明確に示すための書類です。
どの箱に、どの商品が、何点ずつ入っているのかを詳細に記載し、通関時や輸送途中の確認資料として使用されます。
インボイス・送り状と同様、記載内容に不明な点があると、開梱検査が入ったり、通関遅延が発生したりする可能性もあります。
食品は数量や内容物が重視されるため、実際の梱包内容と完全に一致させることが大切です。
記載ミスが起こらないよう、作成時には十分な確認作業が求められます。
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